「曽根崎心中」お初と徳兵衛の恋物語

お初と徳兵衛の恋物語にあやかり縁結び

かつて二人の男女が永遠の愛を誓ったこの地は、強い絆で結ばれたいと願う恋人たちがひっきりなしに訪れています。

醤油屋の手代・徳兵衛と、遊女のお初は恋し合う仲であった。
物語は、徳兵衛とお初が生玉の社で久しぶりに偶然出会うシーンから始まる。
便りのないことを責めるお初に、徳兵衛は会えない間に自分は大変な目にあったのだと語る。

徳兵衛は、実の叔父の家で丁稚奉公をしてきた。誠実に働くことから信頼を得て、店主の姪と結婚させて店を持たせようという話が出てきた。
徳兵衛はお初がいるからと断ったが、叔父のほうは徳兵衛が知らないうちに徳兵衛の継母相手に結納まで済ませてしまう。それでも固辞する徳兵衛に叔父は怒り、とうとう勘当を言い渡す。
その中身は商売などさせない、大阪から出て行け、付け払いで買った服の代金を7日以内に返せというものであった。
徳兵衛はやっとのことで継母から結納金を取り返すが、どうしても金が要るという友人・九平次に3日限りの約束でその金を貸す。


徳兵衛とお初の前に九平次が現れる。
同時に、お初は喧嘩に巻き込まれるのを恐れた客に連れ去られる。
徳兵衛は、九平次に返済を迫る。
が、九平次は証文まであるものを「借金など知らぬ」と逆に徳兵衛を公衆の面前で詐欺師呼ばわりしたうえ散々に殴りつけ、面目を失わせる。
兄弟と呼べるほど信じていた男の手酷い裏切りであったが、死んで身の証を立てるより他に身の潔白を証明し名誉を回復する手段が徳兵衛にはなかった。


徳兵衛は覚悟を決め、密かにお初のもとを訪れる。
お初は、他の人に見つかっては大変と徳兵衛を縁の下に隠す。
そこへ九平次が客としてお初のもとを訪れるが、素気無くされ徳兵衛の悪口をいいつつ帰る。
徳兵衛は縁の下で怒りにこぶしを震わせつつ、お初に死ぬ覚悟を伝える。
真夜中、お初と徳兵衛は手を取り合い、露天神の森へ行く。
やがて松と棕梠の連理の木を見つけ、ここを最後と覚悟を確かめ合うと徳兵衛は脇差でお初の命を奪い、自らも命を絶つ。